変身でした

結構なよいお席で、りんごがめりこんだりするのを目の前で目撃してきました。
食い入るように…見なくてもいっつも前のめりですけれども。

ネジのときもなんですが、開始5分で涙出てくるって自分どうなのかなぁorz
グレゴール、原作よりも自分こそが、自分だけが家族の支えであることの自負というか、矜持というものが見えていて、それが故にちょっとエラそうで(笑)、高潔で、凄烈な虫でありました。

きもちわる! うわきれい! という一瞬のアンビバレントを楽しんだ舞台でもありました。
セットがシンプルな分より引き立って、ザムザ家の閉塞感があそこにぎゅっとつまってしまった。

お母さんが一番残酷だったかもしれない。
自分のおなかを痛めて生まれてきたかわいい優秀な誇らしい息子が醜悪な姿になって、こんなはずじゃなかったと思うお母さんと、あの子は私がいないとだめなのねと思うお母さんと、母性と女性の融合は、ひたすらにいろんなものを飲み込むのだなあと。
あれは男の人は達し得ない境地だと思います*1。男の人はとても繊細だから飲み込みきれない気がする。

動きがとかく壮絶で、部屋の中にいるだけのシーンがいくつかあったのに気づくと目が追ってました。なんだあれは。ああ、虫だなあ。
そこからー…2mくらいあるのかな、そうねー飛び降りちゃうよねー…。
虫になってからのグレゴールが、目線がずっとどこなのかわからなくて、悲しい。かわいそうというか、哀れ。
冒頭の母と妹のグレゴールに対する意識のちょっとした違いが、哀れ。
ご飯をかき集めてるときの「いいぞぉ!」がかわいらしい。

クロッカスはたいそうきれいに花をつけたことでしょう。

カテコの呼び込む指が直視するのが申し訳ないくらいのエレガントさでした。
みらいさんは舞台だと照明でいっつも顔が白くとんでるので(笑)白塗りの違和感のなさ…。

グレタのほのかちゃんがかわいかったよ! なんて愛嬌のある顔と動きをする子なんだろう。
バイオリンの動きがちょっぴりへたくそで! そんでその動きだとちょっとバイオリンが大きいんじゃないか…な…!


まだ中身がぐちゃーならぬべしゃあああぁああな感じなので、またいろいろと出てくる気持ちがあるかと思いますが、ひとまず。

*1:血を分けただけの妹も無理だろうなあ