セイジ 陸の魚

ええはい今頃見たんですよ、まず上映館がまわりになくって、見に行く都合をつけられないまま終わってしまって、雑誌のインタビューとか読んでたらちょっとこれは見られる気がしない! ひとりでは無理! ってなって、ここまで寝かせました……。(笑)
うっかり西島さんにはまった某人を巻き込んでみたんだけど、これはわたし一人で見なくてよかった……。
中身について話しているので、たたみます。直で来た方はお戻りを。

僕と旅人がまざってるんですが、僕=旅人です。固有名詞のない役柄です。
僕=旅人=みらいさん
セイジ=西島さんです。

僕=旅人が某太郎、という名前が出てこないことが、彼を最後まで異邦人たらしめているなあとそわっとする「セイジ 陸の魚」です。
名前はね、たぶんしょうこさんとかセイジとか、はがきを見たところがあったから、覚えているかはさておき彼の名前を一度は見たんだと思う。でも彼は旅人で、一瞬だけ通りすがっただけで、もしかしたらhouse475には一生いかなかったかもしれない。あそこで事故にあっていなかったら、きっと通り過ぎただけで。
縁があって、少しの爪痕だけを残していった、旅人という呼称でいいんだと思います。

インタビューで、「たぶん「僕」はセイジに会いたくないと思う」ってみらいさんが言っていて、それからひとりで二度目を見ようと思ったんですけどそれがぐるぐるしちゃってコーヒーのシーンでもう涙があふれそうになったので二度目もしばらく寝かせます!(笑)

入り込んできた異質なものへのよそ行きの顔から、セイジの表情がゆるっと、だったり、険しくだったりなってきて、少し中身を見せたりだとか、食事を取るというか、食べ物を食べる唯一のシーンとか、飲み物のシーンとか、そういうのが全部旅人絡みであったり、いくばくかの感情をりつこちゃん以外に向けたのが旅人へだったりとか、どんな生き方をしていたって生理的な欲求がセイジにもあって、だとか、いろいろな引き金をひいてしまったのが旅人とセイジの出会いの結果なんだなあとか、最後のシーンで旅人だけが、ああいう行動を取って、あの瞬間だけ旅人はセイジと同じものになったなあとか、ぐるぐるします。

旅人とセイジの距離の縮まっていくあの映像の感じがいいなあ、最初はすごく遠いけど向かい合わせで、最後はすごく近いのに背中合わせ。
旅人の横顔には光が当たっているけれど顔はよく見えなくて、セイジの横顔はくっきり見えているのに日の光は差さない。

セイジと僕は合わせ鏡のようなものなんだって。そうだなあ。

セイジと僕に共通する、ゆるやかな世界への拒絶がたまらなくすきだなと思いました。
僕ってすごくお行儀がいい、聞き分けのいい、ルサンチマンで。
ある意味頭の悪い、そしてある意味で頭のいい旅人への少しの優しさは、遠い昔の自分のかけらを少しセイジは僕の中に見た部分があるからなのかな。

さわやかにかけてくる頭のシーンがさわやかなのにさわやかじゃなくて、泥濘の底にいる気分で、セイジと僕のふたりきりのシーンとかもそんなにおいがぷんぷんしてみているだけで怖くて、なので新井さんが出てくるとほっとしてすごく優しい気持ちになれました。新井さんありがとう。ふふふ美しき酒飲みたちでひどいことをみらいさんがいってごめんなさいね(笑)。

みらいさんがすごーく子供の顔で、びっくりしました。髪型のせいはあるのかな、目がぱちっとあいてて、ほほがつるっとしていて、世界への興味を隠さない、責任を持たない、モラトリアムの中のこども。顔が違うのでびっくりしました。焚き火のシーンとか、最初よりもっともっと子供だったな。
周りの共演者さん、特に西島さん、セイジに子供にもどしてもらったかんじなのかな。
セイジと対峙しているときの、おっかなびっくり、興味と、不安とが綯い交ぜのあの顔が本当に子供みたいでした。セイジは僕に対してふっと笑って見せることが何度かあったのに対して、僕もまたセイジにだけ見せた表情があって、それがこれですよね。

ああもう、みらいさんのことばっかりなんですけど、わたしは森山未來特化型で、舞台とか映画とか、とにかく森山未來が出ていれば、というスタンスで、みらいさんのことにしかお金がさけない状況でして、なのでそこのところどうかご寛恕願います(笑)。僕、から見たセイジを、僕の斜め後ろで見ていました。

みらいさんって素で、役柄じゃなくって普段から少し*1年上たらし人たらしなところがあると思っているんですけど、オファーがくる役回りもそんなかんじというか、人たらしな部分が結構出るもの*2が多いなあと思って、でれでれしちゃいます。僕も、そんな部分があった僕だったなと。もしかしてそこは無意識?


こういう、余白の多い映画に弱いんです。(笑)
でもちょっとキツイのであまりおすすめしません。
あっでも、西島さんの超絶ぼでーが見たい人はぜひ……!!


特典のインタビューの感想は、西島さん→まつげ長い!なにあれ! みらいさん→まつげばっさばさ! なにあれ! でした。(笑)
ああそうだこれでほんと、このひと人たらしだなあと思ったんだ。
お互いの印象を聞かれたときにすごくまじめに西島さんがみらいさんについてお話してくださったのに、かたやみらいさんときたら「ちょっと異常」だとか「病気なんじゃないか」とか、えええ! ってなるようなことを言っていたのに西島さんが大笑いしてくれたあたりでああー、と思ったんだよね!(笑)
フリスビーとかほんとかわいかったし、日焼けしようとして寝転がってるみらいさんの足元が気になる西島さんがかっこいいかわいいくてどうしようかとおもいました!!! バスケやってるのがないのがくやしいことくやしいこと。

初共演、監督とも西島さんともお仕事自体初めてで、みらいさんが年上の方々から「森山くん」と呼ばれているのが新鮮で新鮮で!*3
なんておそろしい組み合わせの共演なんだ…伊勢谷監督本当にありがとうございました。










すごいだめなことをいうとみらいさんがつくったナポリタンの、食べかけを食べるにしじまさんのその残りを食べたいです!!!(いい笑顔)

*1:相当?

*2:ダメ男なのにどこか憎めないとか

*3:共演された年上の方はだいたい「未來」と呼ばれることが多いので